同じミスを繰り返す子に「気をつけよう」と言っても直らない
30秒で読むまとめ
ケアレスミスを「本当は分かっていた」で終わらせる限り、同じミスは繰り返される。
必要なのは、問題文の読み落とし、知識不足、思い込み、途中式の省略など、間違えた原因を具体的に分けること。
「気をつける」のではなく、次に何をするかを決め、無意識にできるまで繰り返すことが対策である。
「ケアレスミスが多いんです」
「分かっていたのに、また間違えました」
「ちゃんと問題を読めばできたはずなんです」
テストの答案を見ながら、このように話す生徒は少なくない。
保護者の方からも、「ミスさえ減れば、もっと点数が取れると思うのですが」と相談されることがある。
確かに、ミスを減らせば点数は上がる。
しかし、ケアレスミスを「本当はできるのに、たまたま間違えただけ」と考えているうちは、なかなか直らない。
なぜなら、本人の中で、その間違いが大きな問題として扱われていないからである。
本当に理解していたのか。
本当に正しい手順で解けていたのか。
次に同じ問題が出たとき、同じ間違いをしないと言えるのか。
ケアレスミスを減らすためには、まず「ケアレスミス」という便利な言葉で、すべてをまとめないことが必要である。
ケアレスミスは簡単な間違いではない
ケアレスとは、不注意や油断という意味である。
つまり、ケアレスミスを減らすには、注意を向けるべきところへ注意を向け、必要な行動を正確に続けなければならない。
これは、決して簡単なことではない。
「次は気をつける」と思うだけで直るのであれば、同じ間違いを何度も繰り返すことはない。
気をつけようと思ったのに忘れた。
問題を解くことに集中して、確認すべきことが頭から抜けた。
いつもの癖で、同じ手順を省略した。
自分がどこで間違えやすいのか、そもそも分かっていなかった。
こうした状態を変えるには、間違えた後に反省するだけでは足りない。
問題を解いている途中の行動そのものを変える必要がある。
ケアレスミスは、簡単なミスではない。注意すべきことに注意を向け、正しい行動を続ける力が足りなかった結果である。
「問題をよく読まなかった」で終わらせない
間違えた理由を聞くと、「問題をよく読んでいませんでした」と答える生徒がいる。
しかし、これだけでは原因を分析したことにならない。
どの言葉を読み落としたのか。
「正しくないものを選びなさい」という否定表現を見落としたのか。
単位を見ていなかったのか。
記号で答える問題に、言葉で答えたのか。
「すべて選びなさい」と書いてあるのに、一つだけ選んだのか。
問われていることを途中まで覚えていたが、問題を解いている間に忘れたのか。
ここまで具体的にしなければ、次に何を気をつければよいか決まらない。
「問題をよく読む」という目標は、あまりにも曖昧である。
次の問題では、また同じように最初から最後まで読んだつもりになり、別の条件を落とす。
たとえば、否定表現を見落とすのであれば、「正しくない」「誤っている」に線を引く。
単位を落とすのであれば、問題文中の単位を丸で囲み、答えを書く前に確認する。
何を答えるか忘れるのであれば、問題文の最後に印を付け、解答前にもう一度見る。
必要なのは、「よく読むこと」ではなく、読み落とさないための具体的な動作である。
本当に「分かっていた」のか
間違えた後に答えを見ると、「ああ、これだった」と思うことがある。
解説を読めば理解できる。
先生から説明されれば、納得できる。
そのため、本人は「分かっていたのに間違えた」と考える。
しかし、答えや解説を見た後に分かることと、何も見ずに自力で答えを出せることは別である。
必要な知識を自分で思い出せなかったのであれば、それは知識が十分に定着していなかったということである。
公式を知っていても、どの場面で使うか判断できなかったのであれば、理解が足りていない。
選択肢を見れば分かったとしても、自分で説明できないのであれば、曖昧なままである。
「見れば分かる」は、「自力でできる」と同じではない。
自分が本当にできるのかを確認するには、答えを閉じ、時間を空け、もう一度何も見ずに解いてみる必要がある。
ケアレスミスを種類ごとに分ける
間違いをすべて「ケアレスミス」でまとめると、対策もすべて「次は気をつける」になる。
まずは、どのようなミスだったのかを分ける必要がある。
1.問題文・条件の読み落とし
否定表現、単位、答え方、個数、範囲などを見落とした。
2.知識が曖昧だった
覚えているつもりだったが、自力では正確に思い出せなかった。
3.解き方の理解が不十分だった
似た問題では解けたが、少し形が変わると手順を選べなかった。
4.途中式や手順を省略した
頭の中だけで処理しようとして、符号、数字、順序を間違えた。
5.思い込みで解いた
問題を最後まで確認せず、「いつもの問題だ」と判断した。
6.書き写し・転記を間違えた
問題の数字、途中の式、解答欄への記入を間違えた。
7.時間の使い方に問題があった
急ぎすぎた、前半に時間を使いすぎた、焦って普段と違う手順で解いた。
原因が違えば、直し方も違う。
覚えていないものは、注意しても思い出せない。
解き方を理解していないものは、ゆっくり読んでも解けない。
途中式を省略する癖は、最後に見直すだけでは直らない。
間違いを具体的に分けることで、初めて有効な対策を考えられる。
「見直しをしよう」だけでは直りにくい
ケアレスミスの対策として、よく挙げられるのが見直しである。
もちろん、時間があれば確認した方がよい。
ただし、「最初は雑に解いても、後から見直せばよい」という考え方では、ミスは減りにくい。
自分で書いた文章の誤字を、自分では見つけにくいのと同じである。
自分では正しいと思って解いた問題を、同じ考え方のまま見直しても、間違いに気づかないことがある。
また、テストでは十分な見直し時間が残らないことも多い。
そのため、基本は一度目から正確に解くことである。
問題文を読みながら条件を確認する。
計算は、一行ごとに符号や数字を確認する。
不自然な答えが出たら、その時点で立ち止まる。
答えを書く前に、何を答える問題だったのかをもう一度確認する。
最後に間違いを探すのではなく、間違いにくい手順で最初から解く。
見直しは、そのうえで行う最後の確認である。
ミスを減らすには、自分の癖を知る
人によって、間違えやすい場所は違う。
数学で符号を落としやすい生徒。
英語で三人称単数のsを忘れやすい生徒。
国語で記号問題と抜き出し問題を混同する生徒。
理科や社会で、「誤っているもの」を選ぶ問題を間違える生徒。
解答欄を一つずつずらして書いてしまう生徒。
同じ生徒が、同じような場面で、何度も同じ間違いをすることは珍しくない。
これは、テスト当日に偶然発生したミスではない。
普段の勉強中にも起きていたミスが、テストでも出ただけである。
だからこそ、普段の間違いを記録しておく必要がある。
「符号を確認する」「単位を書く」といった一般的な注意事項ではなく、自分が実際に繰り返しているミスを書く。
テスト前には、自分の注意点を見返す。
問題を解くときには、該当する場面で決めた動作を行う。
自分の癖が分かれば、すべてを同じように注意する必要はなくなる。
自分が間違えやすい場所へ、重点的に注意を向けられるようになる。
「気をつける」を具体的な行動に変える
次に同じミスをしないためには、「気をつける」という言葉を、実際の行動へ変える必要がある。
| 間違い | 曖昧な反省 | 次に行う動作 |
|---|---|---|
| 否定表現を見落とした | 問題をよく読む | 「誤っている」「正しくない」に線を引く |
| 単位を書き忘れた | 最後に確認する | 数字を書く前に解答欄へ単位を書く |
| 符号を間違えた | 計算を丁寧にする | 式を一行ずつ書き、移項した項へ印を付ける |
| 選択肢を思い込みで選んだ | 勘で答えない | 各選択肢が正しい・誤りである根拠を確認する |
| 答え方を間違えた | 問いを確認する | 解答を書く直前に、問いの最後の一文を読み直す |
行動が具体的であれば、できたか、できなかったかを確認できる。
できなかった場合も、次にどこを直せばよいかが分かる。
丁寧にできるようになってから、速くする
ミスが多い生徒ほど、早く終わらせようとすることがある。
本人としては、遅いと思われたくないのかもしれない。
早く終わらせれば、たくさん勉強したように感じるのかもしれない。
しかし、雑な手順を速く繰り返しても、間違った動作が身につくだけである。
最初はゆっくりでよい。
一つずつ確認する。
自分が何をしているのかを意識する。
どこで間違えやすいかを確認する。
正しくできたときの手順を繰り返す。
その動作が自然にできるようになってから、丁寧さを失わずに速度を上げる。
スポーツや楽器の練習でも、間違った動きを何も考えずに繰り返しても上達しない。
自分の課題を見つけ、原因を考え、直す動きを試し、正しくできた感覚を繰り返す。
勉強も同じである。
無意識にできるまで繰り返す
最初は、強く意識しなければ正しい行動ができない。
問題文へ線を引くことを忘れる。
途中式を省略する。
不安な問題に印を付けない。
間違えた原因を考えず、答えだけを写す。
そのたびに、正しい行動へ戻す。
一度できたから終わりではない。
次の日にも行う。
別の単元でも行う。
テスト形式の問題でも行う。
何度も繰り返すうちに、強く意識しなくても自然にできるようになる。
そこまで続けて、初めて行動が変わったと言える。
間違えた直後だけ反省し、翌日には元の解き方へ戻っているのであれば、まだ身についていない。
それでもミスを完全になくすことはできない
人間である以上、ミスを完全になくすことはできない。
注意を向け続けることが特に難しい生徒もいる。
その場合は、本人の努力だけに頼らず、間違いにくい仕組みを作る必要がある。
注意する場所を絞る。
問題文へ決まった記号を付ける。
一度に処理する問題数を減らす。
手順を紙に書いて見える場所へ置く。
自分が繰り返すミスだけを、テスト前に確認する。
ミスをゼロにすることだけを目標にせず、ほかの問題を確実に取れる学力をつけることも必要である。
大切なのは、「自分はミスが多いから仕方がない」で終わらせず、自分に合った対策を考え続けることである。
瀬谷松栄塾では、間違えた後の行動まで確認する
瀬谷松栄塾では、問題が正解だったか、間違っていたかだけを見ているわけではない。
問題文をどのように読んだか。
どこまで式を書いたか。
何を根拠に答えを選んだか。
自信のない問題に印を付けたか。
間違えた後に原因を確認したか。
解説を見た後、自力でもう一度解いたか。
同じミスをしたとき、前回決めた対策を実行したか。
このような行動を確認する。
「気をつけて」と注意するだけでは、具体的に何をすればよいのか分からない。
間違えた原因を一緒に分け、次に行う動作を決め、実際にできるか確認する。
できなければ、もう一度修正する。
これを繰り返し、自分で間違いに気づき、自分で行動を変えられる状態を目指す。
ミスも「できなかったこと」の一つとして扱う
ケアレスミスは、本当はできるのにもったいない。
それ自体は間違いではない。
しかし、「本当はできる」という言葉を、間違いを軽く扱うために使ってはいけない。
テストで正解できなかったのであれば、その時点ではできなかった。
まずは、その事実を受け止める必要がある。
できなかったから怒る必要はない。
ただし、間違えた原因を確認せず、同じ行動を繰り返すのであれば、その行動は直さなければならない。
ミスをしたことよりも、ミスから何も変えないことの方が問題である。
「気をつける」で終わらせない。
何を見落としたのか。
なぜ見落としたのか。
次は、どの場面で何をするのか。
実際に、その行動を続けられたか。
ここまで確認して、初めてケアレスミスへの対策になる。
同じ間違いを繰り返し、「気をつけよう」で終わっていませんか。
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ミスを減らすには、間違えた原因を分け、普段の解き方から変える必要があります。
現在の取り組み方を確認し、一人ひとりに必要な修正を行います。
