高校入試が早く終わっても、勉強をやめてよいわけではない
30秒で読むまとめ
高校入試が早く終わること自体は悪くない。
ただし、合格の見通しが立った時点で勉強をやめれば、中学内容の積み残しを抱えたまま高校へ進むことになる。
一時期だけ無理に勉強するよりも、入試後も一定の学習を続け、高校で困らない準備をしておきたい。
最近は、高校に入ること自体は以前よりしやすくなっている。
2026年度の神奈川県公立高校入試では、全日制の募集人員39,431人に対し、志願変更締切時の志願者数は43,821人、平均競争率は1.11倍だった。
前年度の1.17倍から、さらに下がっている。
もちろん、人気校には多くの志願者が集まる。
一方で、募集人員に届かず、二次募集を行う高校もある。
私立高校でも、学校の定める内申基準などを満たすことで、比較的早い時期に合格の見通しが立つケースがある。
早く進路が決まること自体は、別に悪いことではありません。
受験の不安から早く解放される。
公立高校の一回の試験だけに、すべてを賭けずに済む。
高校入学後の準備へ早く移れる。
そう考えれば、早く合格の見通しが立つことには十分な利点がある。
問題は、
高校が決まったことで、勉強まで終わったことにしてしまうこと
である。
合格の見通しが立つと、勉強の手が止まる
私立高校の内申基準を満たした。
公立高校も定員に余裕がありそうだ。
学校の先生からも、今のままで大丈夫だと言われた。
そうなると、
「もう高校は決まった」
「入試で困ることはなさそうだ」
と考え、勉強の手が止まりやすくなる。
本来なら、中学3年生の後半は、中学内容をもう一段階仕上げる時期である。
英語の文法を整理する。
数学の苦手単元を潰す。
理科や社会の知識を覚え直す。
初めて見る問題を解き、今まで学んだ知識を使う練習をする。
ところが、合格の見通しが立った瞬間に、
「もう大丈夫」
となれば、本来伸ばせたはずの数か月を使わないまま高校へ進むことになる。
全く勉強しなくなるわけではなくても、真剣に入試へ向かっている生徒と比べれば、学力の伸びが鈍くなることは珍しくない。
高校に入れることと、高校で通用することは別
内申基準を満たしているから、その高校へ入れる。
これはある。
しかし、
内申が足りていることと、高校の授業についていけるだけの学力があることは同じではない。
提出物を期限内に出している。
授業中の取り組みに大きな問題がない。
定期テストでも、学校の評価基準を満たす点数を取っている。
その結果として内申を確保できていても、中学内容に穴が残っていることはある。
特に、英語と数学は中学内容の積み残しが高校へそのまま持ち越される。
主語と動詞の関係が曖昧なまま、高校英語へ進む。
方程式や一次関数が弱いまま、高校数学へ進む。
その状態で高校内容が上に積み重なれば、最初から苦しくなる。
「私立で決まったから大丈夫」
「定員割れしている高校だから大丈夫」
ではありません。
その高校へ入れることと、入学後に困らずやっていけることは別の問題である。
高校に入ると、勉強は一気に本人任せになりやすい
中学生の間は、受験を理由に塾へ通い、家庭でも勉強の状況を確認される。
ところが、高校へ合格すると通塾をやめ、勉強が一気に本人任せになることが多い。
「もう高校生なのだから、自分でやるだろう」
「必要になれば、本人が勉強を始めるだろう」
そう考えたくなる気持ちは分かる。
ただ、高校に入ったからといって、急に自己管理ができるようになるわけではない。
高校では、中学より科目数も学習量も増える。
部活動で疲れる。
帰宅後に少し休む。
スマートフォンを見る。
気づけば夜になり、明日やろうと思ったままテスト前になる。
高校内容が難しいという以前に、勉強を始め、期限までに進める仕組みそのものが成立しなくなることがある。
受験が終わったあとに勉強を完全に止めてしまえば、せっかく作った学習習慣も崩れやすい。
高校へ入ってから、再びゼロから習慣を作り直すのは簡単ではない。
大学進学が珍しくないからこそ、基礎学力を残す
2025年3月に高校を卒業した生徒のうち、全国では62.6%が大学・短大等へ進学している。
普通科に限れば、進学率は71.8%である。
高校入学時点では大学へ行くつもりがなくても、その後に進学を考え始めることは十分にある。
そのとき、中学3年生から勉強を止め、高校でも基礎学力を積み上げていなければ、立て直しはかなり大変になる。
総合型選抜や学校推薦型選抜で、早く進路が決まること自体も悪くない。
ただし、大学へ合格したことと、大学の授業についていけることも別である。
特に理系分野では、高校数学や理科を十分に学ばないまま進学すれば、入学後に苦しくなるのは当然です。
文系であっても、文章を読み、内容を整理し、レポートを書き、期限までに課題を提出する必要がある。
入試方法が変わっても、入学後に学ぶ必要がなくなるわけではない。
高校や大学へ入りやすくなったとしても、その後に必要な学力まで不要になったわけではない。
一時期だけ無理をするより、勉強を続ける
だからといって、高校受験のために毎日限界まで勉強しなければならない、と言いたいわけではない。
ある一定の時期に死ぬほど勉強し、その反動で入試後に何もしなくなる。
それよりも、普段から一定量の勉強を続ける方が、心にも身体にもよいと考えている。
本気で取り組む時期があってもよい。
ただ、その期間が終わったら学習量がゼロになる、という形にはしない方がよい。
合格の見通しが立ったなら、目的を高校入試から高校準備へ変える。
・中学英語と数学の積み残しをなくす
・高校で必要になる計算や文法を確認する
・毎週勉強する曜日と時間を固定する
・高校の最初の定期テストを見据える
・自分で予定を立て、期限までに終える練習をする
入試が終わったから勉強しない、ではなく、次の段階に必要な勉強へ切り替える。
これなら、早く受験が終わる利点をそのまま生かすことができる。
高校合格は、勉強をやめる理由ではない
高校へ入ること自体は、以前よりしやすくなっている。
それ自体は、悪いことではありません。
ただ、学校を選ばなければ高校へ入れるからといって、中学内容を身につけなくても困らないわけではない。
早く合格の見通しが立ったからといって、そこから何か月も勉強を止めてよいわけでもない。
中学内容の積み残しを確認する。
高校で必要になる勉強へ移る。
作った学習習慣を切らさない。
高校へ入ったあとも、自分で勉強を続けられる形を作る。
高校入試が早く終わったなら、勉強を終えるのではなく、早く高校準備を始めればよい。
高校に入れるかどうかだけではなく、高校に入ったあともやっていけるか。
そこまで考えておきたいところです。
本文中の数値について
高校入試の数値は神奈川県教育委員会「令和8年度神奈川県公立高等学校入学者選抜」の公表資料、進学率は文部科学省「令和7年度学校基本統計」に基づく。
